容量や性能が限られたIoTデバイスで遠隔管理を実現するMbed Client Lite

著者:Roni Sasson
※本稿はこの英文記事の抄訳です



現在IoTはさまざまな業界で使われており、そのユースケースも多岐にわたっています。その結果、非常に制約の多い低コストのセンサーから、比較的コストが高く複雑なデバイスまで、IoTデバイスの種類も非常に幅広くなっています。

Mbed Cloudは、複数のMbed Cloudクライアントプロファイルをサポートし、各種IoTデバイスのさまざまな要件や制約に対応することで、強力なデバイス管理機能を通じ、デバイスの多様性の課題に対処できます。

「Mbed Client Lite」は、制約のあるデバイス、具体的にはコード空間や演算処理能力が限られた、コスト重視のデバイスに向けたクライアントプロファイルです。

制約が多いそうしたデバイスは、一般に単機能のアプリケーションに用いられるもので、センサーやアクチュエーターが場合よっては複数搭載されます。データの処理や操作については通常、以下に限定されています。

  • ステータスやコマンドの送受信
  • データの送受信
  • データの簡単な前処理(例:平均、最小/最大、フィルタリング)
  • 簡単な意思決定:コンテキスト依存 具体的な用途としては、以下をはじめとしたさまざまな業界ソリューションが挙げられます。
物流/輸送:パレット追跡センサー

世界では、実に数億個ものパレットが常時移動しており、あらゆる種類の商品を運んでいます。多くの場合、パレットで運ばれる商品は、環境的な状況の影響を受けやすくなっています。位置センサーや環境センサーに対応したスマートパレットは、配達物の損失・破損に関連したロスを削減できると期待されています。しかし、パレットはコストを非常に重視しており、位置や環境条件を追跡するパレットを追加したセンサーの場合、低消費電力を維持するため、コード容量と処理能力は最小限に抑える必要があります。

状態保全/予知保全に対応した流体バルブ用音響センサー

多くの産業用機械は、生産ラインの流体・気体の流れをバルブで制御しています。バルブの状態を正確に検知することはシステムの制御に欠かせない機能です。現在は機械式センサーが多く使われていますが、さまざまな弱点があり、代替技術が求められています。ただ、機械式センサーを置き換える条件としては低消費電力を維持することが必須となり、したがってコード容量と処理性能を可能な限り最小限に抑える必要があります。 こうした課題を解決するため、バルブから発生する音響サンプルを収集し、フィルタリングと圧縮によって処理することで、バルブの状態をより正確に検知する最新の音響センサーが生産ラインで使用され始めています。複雑なデータ処理をクラウド上で行うことで、予測型の保守も可能となり、問題を事前に検知し、誤動作を防ぐことが可能です。このようなIoTデバイスはコストが低いことも重視されており、コード容量と処理能力が限られています。

制約があるデバイスの課題

こうしたデバイスは、制約があるにも関わらずIPネットワーク上での直接的な通信も可能で、大規模ネットワークに求められるセキュリティ機能をサポートします。しかし、制約のあるノード用に設計されたプロトコルスタック(CoAP over UDP/DTLSなど)しか使用できず、HTTPやそれに関連するセキュリティ・プロコトル、XMLベースのデータ表現といった、インターネット・プロトコルをフルスタックで採用することはできません。

課題解決のアプローチ

Mbed Client Liteプロファイルは、以下のような数多くのメリットを提供します。

  • 簡単に使える:Mbed OSにあらかじめ統合されているため、入手してすぐに利用できるソリューションです。

  • 制約のあるノード向けに設計されたプロトコルスタック(CoAP over UDP)をサポート:CoAPは、ネットワークとデバイスのリソース使用量を最小限に抑える設計になっており、固定ヘッダーとコンパクトな符号化を活用することで、メッセージ長を短くするとともに、フラグメンテーションを抑えています。

  • チャネルセキュリティ(DTLS – PSK)をサポート: DTLSを用いることでUDP上でのチャネルセキュリティの確保が可能です。また、記憶容量がさらに小さな場合でも実装できるように、証明書ベースのプロファイルではなく、Pre-shared-key(PSK)プロファイルが採用されています。

  • 遠隔からファームウェアのセキュア・アップデートが可能:バグやセキュリティの問題を修正したり、アプリケーションに新たな機能を追加するため、デバイスには最新のソフトウェア・バージョンが求められます。想定しているのは低コストのデバイスなので、ハードウェアのコストは無視して、新バージョンのソフトウェアを搭載したデバイスで置き換えるアプローチも検討できます。しかし、デバイスの設置場所までテクニシャンを派遣して交換作業をさせると、そのコストはハードウェアよりも高くつく可能性があります。そのため、デバイスのソフトウェアを遠隔からセキュアにアップデートする機能は、特に大規模なIoTアプリケーション導入では不可欠です。

  • 低フットプリントのためコード容量をユーザーアプリに活用:Mbed Client LiteとMbed OSは、制約のあるデバイスにおいて利用可能なリソースのうち、最大でも50%しか占有しないよう設計されています。

  • 所要のROM/RAM容量:
    • メモリ(RAM)64KB:Mbed Client Lite、Mbed TLS、Mbed OSの使用リソースは約36KBです。
    • ストレージ(ROM)256~512KB:Mbed Client Lite、ブートローダー、Mbed OSの使用リソースは180KB未満です。
    • ファームウェアのアップデート時はダウロード・イメージを保存するために追加のブロックストレージが必要です。



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